フリーランスの案件が決まらない理由|「初心者」は経験年数の壁、経験者は契約の谷。主な契約の61.8%は期間の定めなし

ノートPCの画面に棒グラフと円グラフ、横にカレンダーを表示したタブレットを持つ手 単価・契約
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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。契約や取引の個別の判断は、弁護士または公正取引委員会・中小企業庁の相談窓口にご確認ください。

「フリーランス 案件 決まらない」で検索する人は、2つに分かれます。これから独立する、または独立したばかりで最初の案件が決まらない人と、いま参画している案件の終了が見えていて次が決まらない人です。検索候補に「案件 期間」「案件 初心者」が並ぶのは、この2つの状態がそのまま出ているからです。

この記事では、案件票に書かれた経験年数の要件を数えて「初心者」の壁がどこにあるかを見たうえで、公的調査の契約期間と更新への期待から、経験者が案件と案件の間で空く「谷」の構造を押さえます。そのうえで、谷を短くする根拠になるフリーランス法16条の30日前予告と、登録から参画までの期間を並べます。探す経路そのものは副業案件の探し方の記事で書いたので、この記事は「決まらない理由」に絞ります。

先に結論

  • エージェント1社の6職種2,238件の案件票を全件数えると、「求めるスキル」に経験年数を書いている案件は909件で、そのうち588件(65%)は3年以上を求めていました。エージェント各社の目安も実務経験2年以上(クラウドワークス テック)、1年以上(ポテパン)です。実務経験が1年未満の段階で決まらないのは、案件の入口がまだ開いていない可能性が高い状態です
  • 内閣官房の令和4年度調査(2,119名)では、フリーランスの主な契約は「期間の定めのない契約」が61.8%で、期間を定めた契約は3か月未満に寄っています。更新への期待は「更新にはなじまない」30.6%、「期待しない」31.6%で、6割の人が更新を前提にしていません。経験者が「決まらない」のは、契約の終わりが読めないまま次を探し始めるのが遅れて、谷ができる構造です
  • 谷を短くする材料は2つあります。6か月以上の継続的業務委託を打ち切る側には30日前の予告義務があり(フリーランス法16条。期間の定めのない契約も対象)、エージェントは登録から参画まで最短3営業日、平均2週間〜1か月と公表しています(クラウドワークス テック)。30日前予告と平均1か月が重なるので、予告を受けた日に動けば谷は理屈の上でほぼゼロにできます

「初心者」で決まらないのは、案件票の経験年数の壁

「初心者でも案件が取れるか」の答えは、案件票に書いてあります。ITプロパートナーズの職種別ページの全案件(インフラ・ネットワーク・QA・フロントエンド・サーバーサイド・SREの6職種、2,238件、2026年9月11日時点)の「求めるスキル」欄から、経験年数の記載を数えました。

職種(集計した案件数) 経験年数の記載あり うち3年以上を求める案件
フロントエンド(1,405件) 599件 43% 385件
サーバーサイド(37件) 19件 51% 10件
SRE(178件) 75件 42% 50件
QA(184件) 67件 36% 43件
インフラ(406件) 144件 35% 97件
ネットワーク(28件) 5件 18% 3件

出典:ITプロパートナーズ 職種別案件一覧(2026年9月11日閲覧、全ページ集計)。「求めるスキル」欄の「N年以上」を拾い(「N年程度」のような表記は含めていません)、複数あるときは最小値で区分。合計2,238件中、記載あり909件(41%)、うち3年以上588件・1〜2年321件。記載のない1,329件はスキル名だけの記述で、年数を求めていないという意味ではありません

年数を書いている案件の65%が3年以上、残りの35%が1〜2年でした。案件票に年数がなくても、エージェント自身が目安を公表しています。クラウドワークス テックは「実務経験2年以上の方を対象としたお仕事が多くなっております」、ポテパンは「実務経験1年以上の方を主な対象」です。この2つの数字を並べると、実務経験1年未満で案件が決まらないのは、面談の結果より前に、案件の入口がまだ開いていない可能性が高いという読み方になります。

逆に言えば、1〜2年の経験があるなら入口は開いています。1〜2年を求める案件は321件あり、記載ありの案件に占める比率はサーバーサイド47%(19件中9件)・フロントエンド36%(599件中214件)・QA36%(67件中24件)と、成果物型の職種で高めです。インフラは33%(144件中47件)、SREは33%(75件中25件)でした。職種ごとの案件の形の違いは職種別の副業案件の記事に書きました。

経験者で決まらないのは、契約の終わりが読めないまま谷ができるから

経験があるのに決まらない、という状態は、案件が無いのではなく「前の案件が終わってから探し始める」ことで起きます。公的調査で、フリーランスの契約がどう終わるかを見ます。内閣官房の令和4年度調査は、最も収入の多い「主な契約」の契約期間と、どの長さなら更新を期待するかを同じ区分で聞いています。

契約期間 主な契約の契約期間 その長さなら更新を期待する
2週間未満 7.2% 4.7%
2週間以上1か月未満 5.2% 3.7%
1か月以上3か月未満 6.4% 5.0%
3か月以上6か月未満 4.2% 3.1%
6か月以上1年未満 5.4% 4.6%
1年以上3年未満 5.6% 8.3%
3年以上 4.3% 8.4%
期間の定めのない契約 61.8% —
更新にはなじまない契約/更新を期待しない — 30.6%/31.6%

出典:内閣官房ほか 令和4年度フリーランス実態調査結果14ページ目(2章Q2)と21ページ目(2章Q7)、いずれも2,119名。全職種が対象

主な契約の6割が「期間の定めのない契約」です。終わりが決まっていないので、終わりは相手の都合で来ます。期間を定めた契約は3か月未満に寄っていて(合計18.8%)、更新を期待する人の割合が上がるのは1年以上の区分(8.3%・8.4%)です。そして「更新にはなじまない」30.6%と「更新を期待することはない」31.6%を足すと、6割の人が更新を前提に働いていません。契約の終わりが読めず、更新も期待していない、という状態で次を探し始めるのが、終了が見えてからになります。

取引先の数も谷の深さを決めます。取引先が1社なら、その契約の終了は収入がゼロになる谷です。2社以上あれば、1社の終了は収入の一部が減る谷にとどまります。

谷を短くする根拠は、30日前の予告と登録から参画までの期間

終わりが読めない契約に、法律は1つだけ読める点を作っています。6か月以上続く業務委託(継続的業務委託、フリーランス法13条・施行令3条)を発注側が解除するときや、期間満了後に更新しないときの予告です。

特定業務委託事業者は、継続的業務委託に係る契約の解除(契約期間の満了後に更新しない場合を含む。次項において同じ。)をしようとする場合には、当該契約の相手方である特定受託事業者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、少なくとも三十日前までに、その予告をしなければならない。ただし、災害その他やむを得ない事由により予告することが困難な場合その他の厚生労働省令で定める場合は、この限りでない。

出典:特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律 第16条第1項

2項では、予告を受けてから満了日までの間に解除の理由の開示を求めれば、発注側は遅滞なく開示することになっています。単価交渉の起点としてこの30日を使う話は単価交渉のタイミングの記事に書きましたが、案件の谷でも同じ30日が効きます。予告は少なくとも30日前に来るので、予告を受けた日に次の案件を探し始めれば、探す期間が30日確保されます。

その30日で何ができるかは、エージェントの公表値で分かります。クラウドワークス テックは登録から参画まで「最短3営業日、平均で2週間~1ヶ月程度」(職種やタイミングに左右される)と書いています。30日前予告と平均2週間〜1か月が重なるので、理屈の上では、6か月以上の案件なら予告の日に登録すれば谷はほぼゼロにできます。実際は職種とタイミングで動きます。なお、期間の定めのない契約は、終了日を定めなかった契約として期間の要件を満たすものと扱われるので、16条の対象に入ります(公正取引委員会・厚生労働省「考え方」26ページ目。継続的業務委託の期間も同じ始期・終期の考え方によります、42ページ目)。対象から外れるのは、6か月未満で終わることが決まっていて更新の見込みもない契約で、そこは契約書の側で備えることになります。

その備えが、契約書に更新と予告の条項を入れることです。法施行前の2022年8月に行われた内閣官房の調査では、契約書に記載する事項として業務遂行上必須と考えるものに「契約更新の予定の有無」を挙げた人は15.8%、「契約を更新しない場合の事前予告期日」は12.2%でした。支払期日49.9%、契約期間34.8%と比べて、終わり方を決める条項は必須と思われていませんでした。募集文と契約書に書かれる項目は副業案件の探し方の記事で公正取引委員会規則の7項目に整理しましたが、そこに更新の有無と予告期日を足したものが、谷を短くする契約書です。

実務としてどうするか

1. 自分の経験年数を、案件票の年数と各社の目安に当てる

実務経験が1年未満なら、案件票の3年以上・各社の2年以上という入口はまだ開いていません。この段階で登録を繰り返しても決まらないので、本業や受託で1年分の実務を作る段階になります。1〜2年あるなら、1〜2年を求める案件の比率が高い職種(サーバーサイド・フロントエンド・QA)の一覧を、年数の欄だけ見て絞ります。3年以上あるなら、決まらない理由は年数ではなく谷の作り方にあります。

2. 契約書に「更新の有無」と「予告期日」を入れる

いまの契約が6か月未満で終わることが決まっていて、更新の見込みもないなら、16条の予告義務は及びません。期間の定めのない契約は対象に入りますが、予告が来る前提を契約書にも書いておく意味はあります。契約書に「更新の予定の有無」と「更新しない場合の予告期日(30日前)」を入れておけば、法律の外でも同じ30日が確保できます。2022年8月の調査では必須と考える人が15.8%と12.2%にとどまっていた条項なので、発注側から提示されることは少なかったと読めます。こちらから足す項目です。

3. 予告を受けた日に登録して、平均2週間〜1か月を吸収する

終了の予告(または契約書の予告期日)が来た日に、エージェントへ登録して面談まで進めます。クラウドワークス テックは登録から参画まで最短3営業日、平均2週間〜1か月と公表していて、IT・エンジニア特化、登録は無料、利用者の90%がリモートワーク案件で稼働しています(2025年1月末時点)。実務経験2年以上が目安なので、経験者が谷を吸収する使い方に合います。

クラウドワークス テックを公式サイトで見る→

登録無料 ・ IT・エンジニア特化 ・ 利用者の90%がリモートワーク案件で稼働

谷が収入ゼロになる1社取引の人には、途切れたときの保障がある会社を2社目に置く選び方があります。Midworks は週5日の常駐案件を基本とするエージェントで、案件が途切れたときの報酬保障(契約単価の60%、審査あり)を公表しています。保障の条件は審査を含むので、登録時に確かめる項目です。

Midworksを公式サイトで見る→

報酬保障サービスあり(契約単価の60%・審査あり)

まとめ

  • 案件票2,238件のうち経験年数を書く909件の65%が3年以上、各社の目安は2年以上・1年以上。1年未満で決まらないのは入口がまだ開いていない状態
  • 主な契約の61.8%は期間の定めがなく、6割の人が更新を期待していない。経験者の「決まらない」は、終わりが読めないまま谷ができる構造
  • 6か月以上の継続的業務委託の打ち切りは30日前の予告義務(フリーランス法16条)。登録から参画までは最短3営業日、平均2週間〜1か月(クラウドワークス テック)
  • 期間の定めのない契約も16条の対象。対象外は6か月未満で更新の見込みもない契約で、そこは契約書に更新の有無と予告期日を足す。必須と考える人は法施行前の調査で15.8%・12.2%

あわせてどうぞ

案件を探す経路と募集文の7項目は副業案件の探し方の記事に、1か月・6か月・30日の使い方は単価交渉のタイミングの記事に、6社の数字の読み方はエージェント6社比較の記事にまとめています。

この記事で参照した一次情報

本記事は2026年9月時点で上記の一次情報を確認して書いています。案件票の要件や各社の公表値は閲覧日のもので、日々入れ替わります。最新の情報および個別の判断は、各社の公式サイト、弁護士または公正取引委員会・中小企業庁の相談窓口にご確認ください。

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