フリーランスの請求書テンプレート(Excel・スプレッドシート・PDF)|必須欄はインボイスの6項目だけ

ノートパソコンで作業する人の手元と、机に置かれたメモ書きの用紙とコーヒー インボイス・請求書
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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の税務判断は税理士または所轄の税務署にご確認ください。

初めての請求書を出す前に「フリーランス 請求書 テンプレート」で検索すると、源泉徴収額の欄が付いたものがたくさん出てきます。ところがシステム開発の報酬は源泉徴収の対象ではないので、その欄はエンジニアには要りません。逆に、インボイスに必要な登録番号や税率の欄が抜けているものもあります。

この記事では、請求書のどの欄が条文で決まっていて、どの欄が慣習なのかを仕分けしたうえで、そのまま使えるテンプレートを Excel・Google スプレッドシート・PDF の3つの形で配ります。書き方の細かい論点は、インボイスの記載事項の記事、源泉徴収と請求書の記事、交通費と請求書の記事で先に扱っているので、この記事はその3本をつなぐ入口です。

先に結論

  • 調べた範囲では、民法にも商法にも「請求書に書くべき事項」を定めた条文はありません。法律で決まっているのは、取引先が仕入税額控除を受けるために保存する請求書の要件(インボイスの6項目)だけです
  • 源泉徴収税額の欄は、デザインや原稿料など所得税法204条1項に列挙された業務を含むときだけ要ります。システム開発だけなら0円のままか、欄ごと消して構いません
  • 支払期日は請求書で決めるものではなく、契約書や発注書に明示された期日を写す欄です。上限は給付の受領日から60日以内(再委託の案件は元委託の支払期日から30日以内)です
  • PDFで送った請求書は、送った側もデータのまま保存します。期間はインボイス登録済みなら7年、未登録なら所得税法上は5年で、7年に揃えておけば両方を満たします。ファイル名に日付・金額・取引先を入れておけば、検索の要件はそれで足ります

テンプレートのダウンロード

3つとも中身は同じです。Excel の数式は Google スプレッドシートでもそのまま動きます。

形式 向く人 開き方
Excel(.xlsx) 手元の Excel や Numbers で毎月コピーして使う人 ダウンロードして開く。消費税・合計・源泉徴収税額は数式で自動計算
Google スプレッドシート ブラウザだけで済ませたい人、取引先と共有する人 上の .xlsx を Google ドライブにアップロードし、右クリック→「アプリで開く」→「Google スプレッドシート」。開いたら「ファイル」→「Google スプレッドシートとして保存」
PDF(記入見本) 欄の並びと記入例を先に見たい人 そのまま開く。編集はしない前提の見本。実際の送付は Excel から PDF に書き出したものを使う

Excel の2枚目のシート「使い方」に、欄ごとの根拠条文を一覧で入れてあります。この記事の本文は、その一覧を順に説明したものです。

欄の仕分け:必ず要る6項目と、条件付きの欄

テンプレートの欄を、条文で決まっているものとそうでないものに分けると次のようになります。

欄 要否 根拠
発行者の氏名・登録番号 必須(未登録なら登録番号は空欄) 消費税法57条の4第1項1号
取引年月日(「〇月分」でも可) 必須 同2号
取引内容 必須 同3号
税率ごとの合計額と適用税率 必須 同4号
税率ごとの消費税額 必須 同5号
宛名(取引先の氏名・名称) 必須 同6号
源泉徴収税額 対象業務を含むときだけ 所得税法204条1項、通達 直法6-1
支払期日 契約書の明示を転記 フリーランス法3条・4条
振込先・手数料の負担 慣習。定めがなければ支払う側の負担 民法485条
請求書番号・発行日 法定事項ではない。控えの整理に使う 電子帳簿保存法の検索要件

上の6行が、消費税法57条の4第1項に列挙された適格請求書の記載事項です。条文の中身はインボイスの記載事項の記事で引用しているので、ここでは要点だけ書きます。

ここで押さえておきたいのは、この6項目が請求書を出す側の義務として書かれているのではなく、受け取る側が仕入税額控除を受けるための保存要件として書かれている点です。消費税法30条7項は「請求書等を保存しない場合には」控除を適用しないと定め、同条9項がその「請求書等」を適格請求書と定義しています。売手の義務は、求められたときに交付すること(57条の4第1項)です。だから取引先は登録番号や税率の欄を気にします。自分のためではなく、取引先が控除を受けるための欄だと分かると、どれが省けないかがはっきりします。

取引年月日は「10月分」でよく、取引内容は包括的でよい

月まとめで請求する場合、取引年月日は1日ごとに書く必要はありません。57条の4第1項2号の括弧書きに、一定の期間内の取引をまとめて作成する場合はその期間を書くとあります。テンプレートでは「2026/10/1〜10/31」のように期間で書いています。取引内容も、国税庁の No.6625 が「個々の名称でなく包括的な記載」を認めているので、「システム開発業務(10月分)」で足ります。

消費税額の端数処理は請求書1枚につき1回

明細行ごとに消費税を計算して丸めると、税率ごとの合計額に対する消費税額と合わなくなることがあります。端数処理は税率ごとに1回だけです。テンプレートの数式は、10%対象の小計を出してから ROUNDDOWN で切り捨てる形にしてあります。切り捨て・切り上げ・四捨五入のどれを使うかは事業者の任意です。詳しくはインボイスの記載事項の記事にまとめています。

インボイス未登録なら登録番号は空欄で、取引先は経過措置で控除する

インボイス発行事業者に登録していない人は、登録番号がないので空欄のままテンプレートを使います。その請求書は「適格請求書」にはなりませんが、取引先が仕入税額控除をまったく受けられなくなるわけではありません。

国税庁の「適格請求書等保存方式の概要」によると、免税事業者からの仕入れには経過措置があり、区分記載請求書と同様の事項(発行者の氏名、取引年月日、取引内容、税率ごとの税込対価の額、受領者の氏名の5項目)が書かれた請求書を保存していれば、取引先は一定割合を控除できます。

期間 取引先が控除できる割合
2023年10月1日〜2026年9月30日 仕入税額相当額の80%
2026年10月1日〜2028年9月30日 仕入税額相当額の70%
2028年10月1日〜2030年9月30日 仕入税額相当額の50%
2030年10月1日〜2031年9月30日 仕入税額相当額の30%

この記事の公開日は2026年9月24日で、1週間後の10月1日から控除割合が80%から70%に下がります。改正前は「2026年10月から50%」でしたが、令和8年度税制改正で期間が2年延び、割合も引き直されました。古い記事には50%のまま残っているものがあるので、取引先から「10月から半分になる」と言われたら、この改正後の表で確認する材料になります。10月分の請求書から、取引先の側で負担が増える計算に変わりはありません。登録するかどうかの判断と改正の中身はインボイス未登録と2026年10月の記事で扱っています。テンプレートの登録番号欄を空欄にするか埋めるかは、その判断のあとに決まります。

源泉徴収税額の欄は、デザイン・原稿料を含むときだけ

出回っているテンプレートに源泉徴収税額の欄が付いているのは、ライターやデザイナー向けに作られたものが多いからです。所得税法204条1項は源泉徴収の対象になる報酬を列挙していて、システム開発はその中にありません。列挙の中身は源泉徴収と請求書の記事で条文ごと引用しています。

ただし、開発案件の中にデザインやマニュアル原稿が混ざるときは、その部分だけが対象になります。このとき請求書の書き方で源泉徴収の対象額が変わります。

所得税法第204条第1項の規定が適用される報酬・料金等(中略)が支払われる場合において、当該報酬・料金等が消費税法第28条に規定する消費税の課税標準たる課税資産の譲渡等の対価の額にも該当するときの源泉徴収の対象とする金額は、原則として、消費税及び地方消費税の額を含めた金額となる。ただし、報酬・料金等の支払を受ける者からの請求書等において報酬・料金等の額と消費税及び地方消費税の額が明確に区分されている場合には、当該報酬・料金等の額を源泉徴収の対象とする金額として差し支えない。

出典:国税庁 法令解釈通達 平成元年直法6-1「消費税法等の施行に伴う源泉所得税の取扱いについて」3

報酬と消費税を別の行に書いていれば税抜の報酬額だけが対象、まとめて書いていれば税込額が対象です。テンプレートが報酬・消費税・源泉徴収税額を別行にしているのは、この通達に合わせるためです。税率は10.21%(復興特別所得税を含む。同一人への1回の支払が100万円を超える部分は20.42%)で、テンプレートの数式は「源泉徴収の対象額(税抜)」に入れた金額から自動で計算します。

請求の中身 源泉徴収の対象額 テンプレートの入れ方
システム開発のみ(月額60万円) 0円 対象額の欄は0のまま。欄ごと消しても可
開発50万円+デザイン10万円(別行・税抜表示) 10万円 → 税額10,210円 対象額の欄に100,000と入れる
開発とデザインを1行で「業務委託料 66万円(税込)」 66万円全額が対象になり得る 行を分けて税抜で書き直す

3行目のように1行にまとめると、取引先は支払額全体から源泉徴収せざるを得なくなります。引かれた分は確定申告で精算されるので損はしませんが、入金が減るうえに、支払調書が届いたら照合する手間も出ます。行を分けるだけで避けられる話です。交通費を請求に含めるときの扱いは交通費と請求書の記事にあります。

支払期日は請求書で決めるものではなく、契約書から写す欄

テンプレートの支払期日欄には、自分で日付を決めて書くのではなく、契約書や発注書に書かれた期日を転記します。フリーランス法3条1項は、発注側(業務委託事業者)に対して、給付の内容、報酬の額、支払期日などを書面か電磁的方法で明示する義務を課しています。明示する項目は施行規則1条に列挙されていて、報酬の額と支払期日は7号です。つまり支払期日は、請求書を出す前に発注側から示されているはずの情報です。

その期日には上限があり、同法4条1項で給付を受領した日から60日以内と決まっています。月末締めの翌月末払いなら60日に収まります。翌々月末払いは超えるので、契約書がそうなっていたら請求書の書き方ではなく契約の側の問題です。例外は再委託で、発注側が再委託であることと元委託の支払期日を明示している場合は、元委託の支払期日から30日以内が上限になります(同条3項)。エージェント経由の案件はこの形になることがあります。この60日の数え方は単価相場とフリーランス法の記事で扱っています。

なお、フリーランス法は請求書の交付を受注側に義務付けていません。請求書は、明示された条件どおりに報酬を請求するための実務上の書類です。

振込手数料は、定めがなければ支払う側の負担

「振込手数料は貴社にてご負担ください」という一文を請求書に入れるかどうかで迷う人がいます。民法の原則はこうです。

弁済の費用について別段の意思表示がないときは、その費用は、債務者の負担とする。ただし、債権者が住所の移転その他の行為によって弁済の費用を増加させたときは、その増加額は、債権者の負担とする。

出典:民法 第485条

報酬を支払う債務者は発注側なので、契約に何も書いていなければ振込手数料は発注側の負担です。テンプレートの文言は民法の原則を確認しているだけで、新しく何かを求めているわけではありません。逆に「手数料を差し引いて振り込む」のは、契約でそう定めた場合に限られます。

公正取引委員会と厚生労働省の「フリーランス法の考え方」は、1か月以上の業務委託について、振込手数料を受注側に負担させて報酬の額から差し引くことを「報酬の額を減ずること」(同法5条1項2号)の具体例に挙げています。同じ具体例には、消費税相当分を支払わないことや、端数を1円以上切り捨てて支払うことも並んでいます。請求書の合計額と入金額がずれたとき、まず契約書の手数料の定めを見て、定めがなければこの具体例に当たるかを見る順番です。下請法(2026年1月1日から名称が変わりました)にも同じ構造の減額禁止がありますが、その経緯は未払い報酬と遅延利息の記事にまとめています。

PDFで送った請求書は、送った側もデータのまま保存する

請求書をPDFにしてメールやチャットで送る場合、電子帳簿保存法7条の「電子取引」に当たります。同法2条5号は取引情報を「受領し、又は交付する」と定義しているので、受け取った側だけでなく送った側も対象です。施行規則4条1項にも「送付が書面により行われその写しが作成されたとした場合」という文言で、送付側の保存が書かれています。

保存の要件は、大きく2つです。

  • 改ざん防止の措置:タイムスタンプを付ける、訂正削除の記録が残るシステムを使う、または訂正削除の防止に関する事務処理規程を定めて運用する(規則4条1項1〜4号のいずれか)。個人で現実的なのは4号の規程です
  • 検索できる状態:日付・金額・取引先で検索できること。ただし前々年の売上高が5,000万円以下か、出力した書面を日付・取引先ごとに整理して提示できるようにしてあれば、税務職員のダウンロードの求めに応じられる状態にしておくことで検索要件は不要です(国税庁 一問一答【電子取引関係】問21)

売上高5,000万円以下のフリーランスは、検索要件のためにシステムを入れる必要はありません。国税庁の一問一答(問50)は、ファイル名に取引年月日・金額・取引先を統一した順序で入れる方法を例に挙げています。テンプレートで作った請求書をPDFにするとき、ファイル名を次のように付けます。

付け方 例
日付_金額_取引先 20261031_660000_株式会社〇〇〇〇.pdf
フォルダは年ごと 請求書/2026/ の下に月順で並ぶ

2022年1月から2023年12月までは、紙に出力して保存すれば足りる宥恕措置がありましたが、2024年1月1日以後の取引には使えません。データを消して紙だけ残す運用は、2026年10月分の請求書では要件を満たさないということです。

保存する期間は、電子帳簿保存法ではなく所得税法と消費税法で決まります。インボイス登録済みなら、適格請求書の写しは消費税法57条の4第6項で保存が求められ、期間は7年です(施行令70条の13)。未登録なら消費税法の保存義務はなく、所得税法上の請求書控えの保存期間は5年です(青色申告者の場合。所得税法施行規則63条1項)。登録の有無で分けるより、7年に揃えておけば両方を満たします。

実務としてどうするか

1. 契約書の3か所をテンプレートに転記する

テンプレートを開いたら、まず契約書か発注書を横に置き、「報酬の額(税込か税抜か)」「支払期日」「取引先の正式名称」の3か所を転記します。この3つは請求書で決めるものではなく、写すものです。報酬額が税抜なら明細の単価に税抜額を入れ、税込なら税込額を1.1で割った額を入れて消費税を分けます。

2. 登録番号と源泉徴収の欄は、自分の状況で1回だけ決める

登録番号は、登録通知書の T から始まる13桁を1回入れれば、毎月変わりません。源泉徴収の対象額は、案件にデザインや原稿が含まれないなら0のままです。この2つを最初に決めておけば、2か月目からは明細行と請求書番号を変えるだけになります。

3. 月に2枚以上出すなら会計ソフトの請求書機能に移す

取引先が1社で月1枚なら、テンプレートで十分回ります。手作業になるのは、PDFの控えを7年分(未登録なら5年分)ためること、ファイル名を毎回付けること、入金があったかを請求書と突き合わせることの3つです。取引先が2社以上になったり、源泉徴収がある案件が混ざったりすると、この突き合わせが月ごとに増えます。

会計ソフトの請求書機能を使うと、インボイスの6項目は様式として満たされ、作った請求書がそのまま売上として帳簿に載り、控えの保存と入金の消し込みまで1か所で済みます。テンプレートで書き方を理解してから移すと、ソフトの画面のどの欄が何の条文に対応しているかが分かった状態で使えます。

会計ソフトを入れるほどではないが、ファイル名の管理と控えの保存だけ手放したい段階なら、請求書だけを作る無料サービスが中間の選択肢になります。弥生の Misoca は請求書が月10枚まで無料で、見積書・納品書は無制限、作った請求書は弥生・freee・マネーフォワードの会計ソフトへ仕訳として連携できます。

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2社の違いはクラウド会計ソフト比較の記事にまとめています。

まとめ

  • 請求書の記載事項を定めた条文は民法・商法にはなく、法定されているのは取引先が保存する適格請求書の6項目(消費税法57条の4第1項)。取引年月日は「10月分」、取引内容は「システム開発業務」で足りる
  • インボイス未登録なら登録番号は空欄。取引先は経過措置で控除でき、2026年10月1日から控除割合が80%から70%に下がる(令和8年度税制改正後。50%は2028年10月から)
  • 源泉徴収税額の欄はデザイン・原稿料を含むときだけ。報酬と消費税を別行にすれば税抜額だけが対象(通達 直法6-1)
  • 支払期日は契約書の明示を転記する欄で、上限は受領日から60日、再委託なら元委託の支払期日から30日(フリーランス法3条・4条)。振込手数料は定めがなければ支払う側の負担(民法485条)
  • PDFで送った請求書は送った側もデータのまま保存。期間は登録済みなら7年(消費税法)、未登録なら5年(所得税法)で、7年に揃えれば両方を満たす。売上高5,000万円以下(または出力書面を日付・取引先ごとに整理)なら、ファイル名に日付・金額・取引先を入れてダウンロードに応じられる状態にしておけば足りる

あわせてどうぞ

6項目の条文と端数処理はインボイスの記載事項の記事に、源泉徴収の対象になる業務の列挙は源泉徴収と請求書の記事に、交通費を請求に含めるときの扱いは交通費と請求書の記事にまとめています。

この記事で参照した一次情報

本記事は2026年9月時点で上記の一次情報を確認して書いています。テンプレートは同時点の法令で作成した一般的な様式で、契約や業種によって要る欄は変わります。免税事業者からの仕入れに係る経過措置の期間と割合、電子帳簿保存法の要件は改正されることがあるため、最新の情報および個別の判断は税理士または所轄の税務署にご確認ください。

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