本記事はアフィリエイト広告を含みます。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。労務・税務の個別の判断は社会保険労務士・税理士または所轄の労働基準監督署・税務署にご確認ください。
「エンジニア 副業 土日」で検索すると、候補に「土日のみ」「週1」「週10時間」「単発」「時給」と、インフラ・ネットワーク・フロントエンドといった職種名が並びます。知りたいのは、本業を持ったまま土日だけで受けられる案件があるか、受けたときに本業との関係で何が起きるか、の2点だと思います。
この記事では、土日の副業を「雇用契約で受けるか、業務委託で受けるか」で分け、労働時間の通算と割増賃金、フリーランス法の適用範囲を条文と厚生労働省の通達で押さえます。そのうえで、エージェント6社の公式サイトが公表している稼働日数の下限を並べます。副業の所得税と住民税は副業20万円と住民税の記事で扱っているので、ここでは触れる程度にします。
先に結論
- 土日の副業を業務委託(準委任・請負)で受けるなら、本業の労働時間とは通算されません。労働基準法38条1項の通算は「労基法の労働時間規制が適用される労働者」に限られ、厚生労働省の通達は「フリーランス、独立、起業」などは通算されないと明記しています。時給のアルバイトなど雇用契約で働くなら通算され、法定労働時間を超える部分は、後から契約した副業先が割増賃金(2割5分以上)を払う構造です
- エージェント6社の公式サイトに、「土日のみ」「週10時間」の案件を扱うと書いている会社はありませんでした。公表されている稼働日数の下限は週1〜2日で、クラウドワークス テックは「副業的な働き方ができるお仕事については、常時ご用意がございません」と明記しています
- 会社員が副業で業務委託を受ける場合も、従業員を使っていなければフリーランス法の「特定受託事業者」です。条件の明示(3条)と支払期日60日以内(4条)はすべての案件に、受領拒否や減額の禁止(5条)は1か月以上の案件に適用されます。単発の案件は5条の外です
土日に働く「形」で、適用される法律が変わる
副業と一口に言っても、時給で働くアルバイトと、成果物や役務に対して報酬を受ける業務委託では、適用される法律が違います。エンジニアの土日副業で出てくる3つの形を並べます。
| 副業の形 | 本業との労働時間の通算 | 適用される法律 |
|---|---|---|
| 土日にアルバイト・パート(雇用契約) | 通算される。法定労働時間を超える部分は副業先が割増賃金 | 労働基準法(労働者として) |
| 土日に業務委託(準委任・請負) | 通算されない(労基法の適用外) | フリーランス法(特定受託事業者として) |
| 契約は業務委託だが、実態は指揮命令下 | 実態に応じて労基法が適用される可能性 | 労働基準法(偽装請負として使用者責任) |
業務委託なら本業と通算されない
労働基準法38条1項は「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」と定めています。この条文だけ読むと、土日の副業も本業と足し合わせて週40時間を超えたら時間外労働になりそうに見えます。ところが通算の対象は、厚生労働省の通達で次のように限定されています。
労働者が、事業主を異にする複数の事業場において、「労働基準法に定められた労働時間規制が適用される労働者」に該当する場合に、法第38条第1項の規定により、それらの複数の事業場における労働時間が通算されること。
なお、次のいずれかに該当する場合は、その時間は通算されないこと。
ア 法が適用されない場合 例)フリーランス、独立、起業、共同経営、アドバイザー、コンサルタント、顧問、理事、監事等出典:厚生労働省 基発0901第3号「副業・兼業の場合における労働時間管理に係る労働基準法第38条第1項の解釈等について」(令和2年9月1日)
業務委託で受ける副業は、副業先との関係では労働者ではないので、この「法が適用されない場合」に当たります。本業の会社が副業の時間を通算して36協定の枠に収める義務も、この形では生じません(ガイドラインは、長時間にならないよう配慮することが望ましい、としています)。
ただし、同じガイドラインは「請負であるかのような契約としているが実態は雇用契約だと認められる場合等においては、就労の実態に応じて、労基法、労働安全衛生法等における使用者責任が問われる」と留保しています。土日に副業先のオフィスに出向いて、担当者の指示で決まった時間働く形なら、契約書の名前が業務委託でも雇用と見られる余地があります。通算されないのは、実態が業務委託である場合です。
時給のアルバイトなら、副業先が最初の1時間から割増賃金
雇用契約で土日に働くと、本業の所定労働時間と通算されます。ガイドラインは、通算して法定労働時間を超える部分は「時間的に後から労働契約を締結した使用者における当該超える部分が時間外労働」になると書いています。本業が週40時間なら、後から契約した副業先の労働時間は最初の1時間から時間外労働で、副業先が2割5分以上の割増賃金(労基法37条1項)を払う構造です。
一方、休日の規定は通算されません。ガイドラインのQ&Aは「労働基準法第38条第1項により通算されるのは労働時間に関する規定であり、休日に関する規定は通算されないため、労働者が自らの事業場の法定休日に他の使用者の事業場において副業・兼業を行った場合においても、自らの事業場における法定休日は確保したことになります」としています。本業の会社から見ると、土日に他社で働いても法定休日を与えたことにはなる、という整理です。
「エンジニア 副業 時給」で探すと候補が少ないのは、この構造の影響と読めます。雇用で受け入れると副業先は割増賃金と労働時間の把握を背負うので、エンジニアの副業案件は月額や成果物単位の業務委託に寄ります。実際、6社の案件表示はどこも月額で、時給の相場を示す一次情報は見つけられませんでした。
就業規則の禁止は、裁判例で4つの場合に限られる
副業の可否そのものは労基法ではなく、本業の会社との労働契約の話です。ガイドラインは裁判例を引いて、労働時間以外の時間の使い方は基本的に労働者の自由で、禁止・制限できるのは①労務提供上の支障がある場合 ②業務上の秘密が漏洩する場合 ③競業により自社の利益が害される場合 ④自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合、の4つとしています。届出制や許可制の就業規則なら、この4つに当たらないことを説明できる形で出すことになります。エンジニアの受託は本業と同じ領域になりやすく、③の競業に当たるかは案件ごとに見ることになります。
エージェントで探すと、公表されている下限は「週1〜2日」
次に、実際の案件です。「土日のみ」「週10時間」の案件を扱うと公式サイトに書いている会社が6社にあるか、稼働日数の下限をどう公表しているかを読みました。
| 会社 | 公表している稼働日数の下限 | 副業・土日についての記述 |
|---|---|---|
| クラウドワークス テック | 「週5日のお仕事から週1,2日のお仕事まで」(よくある質問) | 「副業的な働き方ができるお仕事については、常時ご用意がございません」 |
| ITプロパートナーズ | 「週2日から働ける」。案件検索に「週1日」の区分 | 土日についての記述なし |
| レバテックフリーランス | 絞り込みに「週3日から可能」 | 案件特徴に「副業・複業」の絞り込みあり |
| ポテパンフリーランス | 「週2日からの案件もあります」(よくある質問) | 土日についての記述なし |
| Midworks | 週5日の常駐が基本(よくある質問) | 「リモートや土日のみの案件よりも」常駐をおすすめする記述 |
| ギークスジョブ | 絞り込みに「週3作業」 | 土日についての記述なし |
各社公式サイトの記載(2026年9月11日時点)。案件の有無は時期で変わります
土日祝日、定時後の時間で対応ができるお仕事はありますか。
クラウドワークス テックにて取り扱いのあるお仕事は、平日の日中にまとまった時間でお力添えいただくお仕事が多く、副業的な働き方ができるお仕事については、常時ご用意がございません。出典:クラウドワークス テック よくある質問(2026年9月11日時点)
「週1,2日のお仕事まで」掲載していると書く同じページで、土日や定時後の案件は常時はないと答えています。週1〜2日の案件はあっても、それは平日の日中に稼働する前提で、土日だけで回す想定ではない、という読み方になります。Midworks のよくある質問も、土日のみの案件よりも常駐をおすすめする書き方です。
「週1 未経験」も同じで、クラウドワークス テックは「実務経験2年以上の方を対象としたお仕事が多い」、ポテパンは「実務経験1年以上の方を主な対象」と目安を挙げていて、未経験で週1の案件条件を公表している会社は6社にありませんでした。6社の数字の読み方はエージェント6社比較の記事にまとめています。
土日だけ、週10時間だけで受けたいなら、エージェントの外(知人からの受託、クラウドソーシング)が現実的な入口です。エージェントに登録する意味があるのは、平日に週1〜2日の稼働を作れる人か、副業を経て独立を考えている人に絞られます。
単発の案件とフリーランス法:1か月未満は5条の外
副業でも業務委託で受けるなら、フリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)が関わります。特定受託事業者の定義は「個人であって、従業員を使用しないもの」(2条1項1号)で、会社員であることは除外事由になっていません。プログラムは「情報成果物」に明記されています(2条4項1号)。発注側が従業員を使う個人か法人なら「特定業務委託事業者」(2条6項)で、次の義務がかかります。
- 3条:業務の内容、報酬の額、支払期日などを書面かメールなどで直ちに明示する。業務委託をするすべての事業者に、期間を問わず適用
- 4条:報酬の支払期日は、成果物を受領した日(役務なら提供を受けた日)から60日以内。特定業務委託事業者に、期間を問わず適用
- 5条:受領拒否、減額、返品、著しく低い報酬の設定などの禁止。特定業務委託事業者に、政令で定める期間「一月」以上の業務委託に限って適用(施行令1条)
単発(1か月未満)の案件は、5条の保護の外です。ただし条件の明示と60日以内の支払いは単発でも適用されるので、「土日で2日だけ」の案件でも、着手前に業務内容・報酬・支払期日をメールでもらっておくことに法律上の根拠があります。支払期日の上限と再委託の例外はエージェント6社比較の記事の支払サイトの節に、請求書に書く項目は請求書テンプレートの記事にあります。
会社員の土日副業の割合は、公的調査に出ない
「土日副業をしている人はどのくらいいるか」も調べましたが、公的な数字は出ませんでした。内閣官房の令和4年度フリーランス実態調査は本業がフリーランスの人が対象(本業が正規雇用の回答は0.5%)です。会社員が副業でフリーランスをする人の割合は、この調査にはありません。
使えるのは逆向きの数字です。内閣官房の調査では、主な契約の期間中に他の仕事を掛け持ちしている人が34%、掛け持ちしない理由の最多は「他の仕事を掛け持つ余裕がないため」48.2%でした。本業がフリーランスで掛け持ちしていない人(1,401名)のうち、半数近くが掛け持つ余裕がないと答えています。週10時間(月40時間前後)の土日副業は、本業として働くフリーランスの稼働に比べればごく小さい稼働で、だからエージェントの案件の形にも乗りにくい、と読めます。
税務は20万円で変わる。就業規則の可否とは別
副業の所得(収入から経費を引いた額)が20万円を超えたら確定申告の対象になり、20万円以下でも住民税の申告は別に必要になります。この2つの根拠と、副業先で源泉徴収されていた分の戻し方は副業20万円と住民税の記事に書いています。就業規則で副業が認められているかは、この税務の話とは別に確かめる項目です。
実務としてどうするか
1. 契約の形を先に決めて、3条の明示をもらう
土日副業を始める前に、雇用か業務委託かを決めます。時給で募集している案件は雇用契約で、本業と通算されて副業先に割増賃金が生じます。業務委託なら通算はされませんが、実態が指揮命令下にならないよう、稼働する場所と時間を自分で決められる条件にしておくことになります。業務委託で受けるなら、業務内容・報酬・支払期日の明示(3条)を着手前にメールで受け取ります。単発でもこの明示は適用されます。
2. 週1〜2日の案件があるかを、登録して見る
土日だけの案件は6社のどこも公式には扱っていないので、エージェントに登録する意味があるのは、平日に週1〜2日の稼働を作れる場合です。クラウドワークス テックは「週5日のお仕事から週1,2日のお仕事まで」掲載していると公表しているエージェントで、IT・エンジニア特化、登録は無料、利用者の90%がリモートワーク案件で稼働しています(2025年1月末時点)。実務経験2年以上が目安なので、本業で2年以上の経験がある人向けです。副業的な案件は常時はない、という自社の回答どおり、登録して案件の有無を見る使い方になります。
登録無料 ・ IT・エンジニア特化 ・ 利用者の90%がリモートワーク案件で稼働
![]()
3. 土日副業で回せたら、独立の入口はエージェントで見る
土日副業を業務委託で数か月回せて、平日の本業を手放す判断に近づいたら、その先の入口はエージェントです。Midworks は週5日の常駐案件を基本とするエージェントで、土日副業の入口ではなく独立後の入口として、案件が途切れたときの報酬保障(契約単価の60%、審査あり)があります。副業で試したうえで独立に踏み切るとき、退職日から走り出す期限は独立タイミングの記事に、退職した年の税金は退職した年の確定申告の記事にまとめています。
報酬保障サービスあり(契約単価の60%・審査あり)
![]()
まとめ
- 土日の副業を業務委託で受けるなら、本業の労働時間とは通算されない。労基法38条1項の通算は労基法が適用される労働者に限られ、通達は「フリーランス、独立、起業」は通算されないと明記。雇用契約なら通算され、後から契約した副業先が割増賃金を払う
- 休日の規定は通算されない。本業の法定休日に他社で働いても、本業の法定休日は確保したことになる
- エージェント6社に「土日のみ」「週10時間」を扱うと書く会社はなく、公表されている下限は週1〜2日。クラウドワークス テックは副業的な案件は常時ないと明記
- 副業の業務委託もフリーランス法の対象。条件明示(3条)と支払期日60日(4条)は単発でも適用、受領拒否・減額の禁止(5条)は1か月以上の案件のみ
あわせてどうぞ
副業の所得税と住民税は副業20万円と住民税の記事に、6社の数字の読み方はエージェント6社比較の記事に、独立を決めたあとの期限は独立タイミングの記事にまとめています。
この記事で参照した一次情報
- 労働基準法(昭和22年法律第49号)(第37条第1項の割増賃金「二割五分以上」、第38条第1項の「事業場を異にする場合においても」通算することを確認)
- 厚生労働省 基発0901第3号「副業・兼業の場合における労働時間管理に係る労働基準法第38条第1項の解釈等について」(令和2年9月1日。1ページ目の「法が適用されない場合 例)フリーランス、独立、起業」は通算されないことを確認)
- 厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(令和4年7月改定版。5ページ目の偽装請負の留保、8ページ目の裁判例による禁止・制限の4つの場合、12〜13ページ目の「時間的に後から労働契約を締結した使用者」の時間外労働と割増賃金の支払義務を確認)
- 厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」Q&A(2022年7月改定版。49ページ目の問1-16の答「休日に関する規定は通算されない」を確認)
- 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(令和5年法律第25号)(第2条第1項第1号の「個人であって、従業員を使用しないもの」、第4項第1号のプログラム、第6項の特定業務委託事業者、第3条第1項の明示義務、第4条第1項の受領日から60日、第5条第1項の「政令で定める期間以上の期間行うもの」を確認)
- 同法施行令(令和6年政令第200号)(第1条の「一月」を確認)
- クラウドワークス テック よくある質問(「週5日のお仕事から週1,2日のお仕事まで」「副業的な働き方ができるお仕事については、常時ご用意がございません」「実務経験2年以上の方を対象としたお仕事が多くなっております」を確認)
- ITプロパートナーズ・レバテックフリーランス・ポテパンフリーランス よくある質問・Midworks・ギークスジョブ(各社の稼働日数の下限と、副業・土日についての記述を確認。2026年9月11日時点)
- 内閣官房ほか 令和4年度フリーランス実態調査結果(Q3の本業・副業の就業形態、第2章Q5の掛け持ちの有無、Q6の掛け持ちしない理由を確認)
本記事は2026年9月時点で上記の一次情報を確認して書いています。ガイドラインや通達の内容、エージェント各社の案件条件は変わることがあります。最新の情報および個別の判断は、社会保険労務士・税理士または所轄の労働基準監督署・税務署にご確認ください。

